
監督:スコット・マクギー/デヴィッド・シーゲル
出演:リチャード・ギア ジュリエット・ビノシュ フローラ・クロス
マックス・ミンゲラ ケイト・ボスワース
宗教学者の大学教授ソール・ナウマン(リチャード・ギア)は、家では家事もこなす理想的な夫にして良き父親だった。しかし11歳の娘イライザ(フローラ・クロス)は、何ごとにも完璧を求める父の愛情はすべて優秀な兄アーロン(マックス・ミンゲラ)に向けられていると感じ、寂しさを噛みしめる。ところがある日、イライザは学校のスペリング・コンテストで優勝すると、地区大会でも圧倒的な強さで勝ち進む。イライザの才能はソールの学術的な興味を強く刺激し、彼の関心はアーロンからイライザへと一気に傾く。しかしある秘密を抱える母ミリアム(ジュリエット・ビノシュ)は、全国大会へ向け特訓に励む父と娘の姿を不安な目で見つめていた。
スペリングコンテスト、日本ではほとんど馴染みがないですね。
難解な単語の正確な綴りをどれだけ暗記できているかを競う競技で、毎年900万人が参加する「頭脳オリンピック」とも称される大イベントらしい。
日本で言うと漢字検定みたいなもん?
主人公イライザがこのスペリングの才能を開花させていくのと同時に、平穏に見えた家族の関係がどんどん綻んでいくというストーリーですが、ちょっと見る人に伝わりにくい部分が多い作品かも。
ユダヤ人であり、自らもユダヤ教の神秘主義カバラの研究者である父ソールは、常に優秀な長男をかまい、ごく平凡な娘にはほとんど関心を示さなかった。
ところが、彼女が学校のスペリング大会で優勝したと知ると、態度は一変する。
大会で勝ち進むにつれ、娘には、神の境地に達する能力があると信じるようになる。
自分が長い間研究しても到達できなかった境地。
熱心に指導する父に、娘も期待に応えようと努力する。
そんな二人を見て、何故か精神不安定になっていく母親と、反抗的になっていく息子。
一番分かりやすいのは、息子の行動。
自分に向けられていた父親の関心が妹に注がれるようになって面白くない。
ユダヤ教でもない、カトリックでもない異国の宗教、ヒンドゥー教にのめりこんだのも、反抗心から、父親が心酔する『神』とは全く違ったものに行き着いたんだろう。
でも母親の行動はよくわからない。
幼い頃両親を亡くした時の記憶がフラッシュバックで度々現れ、人の家に侵入しては「光るもの」を盗んで集める。
ラスト近くに、それは何年も前から続いていたことがわかるけど、そんなことを続けながらも表面上は良き妻、良き母親であったのが、何故イライザが優勝したのがきっかけに大きく崩れてしまったのか、それが分からない。
また、イライザの能力についても説明不足だと思う。
宗教が絡んでくるから、よけいに難解になる。
結局、彼女は父親の言う「境地」に達したのか?あの昏倒は何だったのか。
決勝での行動、あれで家族を救うことになるのか?
見終わった後は疑問でいっぱいだったけど、いろいろ考えるうち、少し分かるような気がしてきた。
相手の本質を見ようとしない、ある意味自分勝手で独りよがりな父親。
彼自身は傍目から見れば実によく出来た父親で、自分自身もそれを自負している節があり、周りの者にも理想的な形であろうとさせる存在だったのかもしれない。
それが妻の精神的負担になり、息子も父親の「支配」に気づき、逃れようとする。
娘も家族がバラバラになりつつあるのを感じる。
それでも娘の才能に固執し、大会でも優勝することが当然のように思っている父親に、イライザはちゃんと家族一人一人に目を向けてほしかったんだろう。
そうだとしても、やっと親に褒めてもらうことの心地よさに目覚めたのに、親にとって自分の存在が誇れるものであることは、きっと誰でも喜びだろうに、ある意味自分を犠牲にしたイライザの行動は、とても子供の選択とは思えない。
長い間関心を向けられず、やっと愛情を実感し始めたことで家族が壊れ、何の罪も無い自分を責める幼い彼女の心中を思うと、少し切ない。













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